肌育治療は「自然な若返り治療」として数年前よりヨーロッパ発進で注目されている治療です。肌の弾力や張力の成分であるコラーゲンやエラスチンなどを増やし、細胞外マトリックスの環境を整えたり、必要な構造をリモデリングして肌全体を若返らせる治療のことを言います。
しわやたるみなどがある肌の内側では、肌の弾力の成分(コラーゲンやエラスチン)が減少し、肌のハリやつやが失われます。この状態の肌に製剤を注入することで、真皮層の構造が数週間かけて再構成され、根本的に肌が作り替えられます。
肌は年齢を重ねるごとに成長し、様々な環境因子の影響や加齢による変化が加わり、やがて老化していきます。
目に見える肌老化として挙げられるのは、主にシワの増加、肌のキメの乱れ、肌のハリや弾力の低下、くすみ・シミの出現などです。
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の順で3つの層から成り立っています。
表皮はターンオーバーを繰り返しながら肌が生まれ変わりますが、加齢に伴いターンオーバーは徐々に鈍くなります(平均約28日だったのが40〜60日と伸びていく)。その結果、表皮全体が薄くなりシワが増加します。そして、古い角質が肌表面に残りくすみの原因となります。
真皮は肌のハリや弾力を支える部分ですが、30代頃から線維芽細胞の働きが弱まり、コラーゲンやエラスチンの変性や減少、断裂が起こると、肌が弾力を失いシワやたるみが生じます。また、ヒアルロン酸の減少により、肌の水分量が低下し潤いのないしぼんだ印象を与えるようになります。
肌の内部ではこのような複雑な変化が起きているのです。
肌質そのものを再構築することでさまざまな肌老化にアプローチする治療
従来の美肌治療は、主にボリュームの補填や皮膚の支持構造の強化を目的としていましたが、再生医療の登場により「肌そのものを土台から育成する」という目的の治療へとトレンドが変化してきています。土台からお肌を作る「肌育治療」は、お顔の形を変えて若見えさせるのではなく、肌質そのものを再構築することでさまざまな肌老化にアプローチする治療です。
図にあります真皮部分の線維芽細胞やECMは、紫外線のダメージや加齢によって減少します。一度壊れてしまった細胞は再生することができません。肌の土台が崩れることで、表皮にはゆるみが生じ、結果、シワやたるみになってしまうのです。
肌育治療では、不足したコラーゲンやヒアルロン酸を補うだけでなく、線維芽細胞に働きかけて生成を促し、ECMを再構築(リモデリング)します。つまり、壊れてしまった土台(真皮)に栄養を与え、健康な肌状態を再び育てていくということです。
コラーゲンの減少が顕著となる30代~のエイジングケアや、ハイフや糸リフトといったたるみ治療の下準備として導入することで、効率よく理想の肌を手に入れることができます。
肌育を目的とした注入療法では、肌のハリツヤ向上、透明感アップ、小じわの改善、肌の弾力アップ、毛穴の改善などの効果が期待できますが、注入する製剤によってこれらの効果を得るプロセスが異なります。
肌育治療は皮膚の土台を整える注入治療です。荒れた土地に種を撒いても花が育たないように、荒れた肌にレーザーやHIFUなどの治療を施しても目ざましい効果を引き出すことは難しいでしょう。
肌育治療には、非架橋ヒアルロン酸やアミノ酸、ビタミンなど、さまざまな成分の製剤が存在します。照射治療前後や定期的な注入により、ハリ感のある若々しい肌を維持することが可能です。
効果実感&持続力 | 安全性 | 通院回数 | 価格 | 注入方法 | |
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ヒアルロン酸 非架橋型ヒアルロン酸 (柔らかく吸収されやすいヒアルロン酸) |
肌の形を整える 保水性を高める |
◯ | 1回~ | 気になる部分に手打ち | |
ヒアルロン酸+α 非架橋型ヒアルロン酸 +アミノ酸などの美容成分 |
肌の形を整える 栄養を与える |
◯ | 数回 | 選択可能
|
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幹細胞培養上清液 成長因子サイトカイン |
高い肌再生効果 | ◯ | 1回~ | 選択可能
|
|
リジュラン PN(ポリヌクレオチド) |
皮膚弾性物質の 生成促進 |
◎ | 3回〜 | 選択可能
|
|
ジュベルック PDLLA(ポリ乳酸) |
コラーゲン生成促進 | ◎ | 3回~ | 選択可能
|
肌育治療を「スキンブースター注射」「水光注射」といった名前で提供されているクリニックもありますが、注入方法は医師が注射器で注入する「手打ち式」と、機械を使って注入する「機械式」の2つに分けられます。
手打ち式は、気になる部位に重点的に注入できる点と、機械式に比べて製剤を取りこぼすことなく注入可能な点がメリットです。例えばシワを改善したい場合、手打ち式ではシワのラインや深さに沿って、一滴ずつ注入量を調整することが可能です。ただし、機械式に比べて痛みを感じやすいことと、細かい部分では的確な判断と技術が必要なため、医師の腕によって効果が左右される点がデメリットです。
機械式は、施術時間を抑えながら広い範囲で均一に注入できる点がメリットです。また、針による刺激で、コラーゲンの生成をさらに促す効果も。痛みやダウンタイムが比較的少なく、顔全体をケアしたい場合に最適です。しかし、注入時に針と肌の隙間から液漏れする可能性があり、手打ち式に比べて注入量が減ってしまうというデメリットもあります。注入治療に用いられる主な機械は、水光注射やメソガンがあります。
すぐにでも改善したいお肌の悩みがある方は、注入直後から効果を感じられるヒアルロン酸注入やボツリヌス注射のような顔印象を変える形成術・シワ治療を検討しましょう。ヒアルロン酸で肌の保水力とボリュームをアップさせ細かなシワを改善させたり、ボツリヌストキシンで表情じわ、皮脂分泌や毛穴の開きを改善させたりします。
注入薬剤は、線維芽細胞を活性化させるECM製剤のほか、ECM製剤以外にも真皮にアプローチできるものがあります。ECM製剤の場合、主成分にはECMのもととなるアミノ酸と、自然に近い非架橋ヒアルロン酸が使われます。人が本来持っている成分であるため、より真皮になじみやすく、ナチュラルな仕上がりになるのが特徴です。製剤の種類は、非架橋ヒアルロン酸の分子量が多いものや、美白有効成分が配合されているものなどさまざまですが。肌の悩みに応じて使い分けることで、より高い効果が期待できます。
NCL-HA(非架橋ヒアルロン酸)水分量の向上 ハリ改善
PN(ポリヌクレオチド)VEGF※分泌促進
皮膚弾住物質の生成促進
ECM(細外マトリックス)水分量の向上
皮膚弾性物質の生成促進
PCL(ポリカブロラクトン)コラーゲン生成促進
ACRS(自己血サイトカインリッチ血清)炎症抑制
皮膚弾性物質の生成促進
ジュベルックの取り扱いを決めた理由は、コラーゲン生成効果が抜群に高いからです。治療開始から早い段階で、明確にその効果を感じていただくことができます。ジュベルックはPDLLA(ポリ乳酸)と呼ばれる成分で、とうもろこし、じゃがいも、サトウキビなどの自然なものから抽出したエキスから生成されたものです。自然由来のものなので、安全性が高く、日本の厚生労働省の位置付けとなるアメリカFDAや韓国MFDSで承認を受けている製剤です。非架橋性ヒアルロン酸も配合されており、直後からのボリュームアップを実感することができます。
お肌のやや深層に注入することによる異物反応を利用しているので、異物反応が強く出過ぎるとアレルギー反応のような症状がでたり、しこりなどができる可能性があります。皮膚の薄い目周り等にはジュベルックは注意が必要です。効果はマイルドになりますが、目周りならリジュラン®もおすすめです。
このような効果が期待できます
ハリ・
小じわ
◯
治療改善
1ヶ月おきに
3回を目安に
目周り
△
首
◯
リジュラン®は、サーモンから抽出したポリヌクレオチド製剤でサーモン注射としても知られています。ポリヌクレオチドを肌に直接注入することで、肌の再生を促進します。細胞が活性化する事で、組織修復、コラーゲンやヒアルロン酸などを産生し、肌の若返り効果が期待できます。また、肌の赤みの改善も期待できます。
肌を根本から若返らせる治療のため、治療回数を重ねるごとに、ハリ・弾力感をより感じられるようになります。
このような効果が期待できます
ハリ・
小じわ
◯
治療改善
2~4週間おきに3回を目安に
目周り
◯
首
◯
副院長自ら実践する
肌育ノウハウを提供
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