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2025.05.02|再生医療

線維芽細胞とは?働きや減少する原因・増やす方法なども紹介

線維芽細胞療法は、肌の再生を促進する治療法として注目されています。さまざまな肌悩みが解決できる線維芽細胞療法ですが、「そもそも線維芽細胞とは?」「治療を受けるメリットとデメリットは?」と悩む方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、線維芽細胞について解説します。また、メリットやデメリットだけでなく、クリニック選びのポイントや注意すべき点も併せて紹介します。

この記事を読めば、線維芽細胞について理解することができるので、しわやたるみで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

線維芽細胞とは?

線維芽細胞は、皮膚や結合組織に存在し、体内で重要な役割を果たす細胞の1つです。特に、肌の健康や再生に欠かせない細胞であり、コラーゲンやエラスチンなどの成分を生成する働きがあります。ここでは、線維芽細胞を詳しく解説します。

皮膚の真皮層にある細胞

線維芽細胞は、皮膚の中でも真皮層に多く存在している細胞です。真皮層は、肌の弾力や強さを保つために重要な役割を果たしており、線維芽細胞が生成するコラーゲンやエラスチンが真皮層の構造を支えています。

コラーゲンは肌にハリを与え、エラスチンは伸縮性を与えるため、両者がバランスよく働くことで、肌はしっかりとした弾力を維持できます。線維芽細胞が正常に働いていると、肌の若々しさを保てる仕組みです。

線維芽細胞は幹細胞ではない

線維芽細胞は、幹細胞の一種ではなく、真皮幹細胞から生まれる細胞です。幹細胞は、自己複製能(同じ細胞を作る能力)と分化能(別の種類の細胞に変化する能力)を持ちますが、線維芽細胞自体はその特性を持っていません。

線維芽細胞は幹細胞ではありませんが、皮膚の修復や再生において不可欠な細胞です。加齢や紫外線やケガなどにより、線維芽細胞の機能は低下し、コラーゲンやエラスチンの合成が遅れ、肌のハリや潤いが失われる原因となります。

線維芽細胞の働き

線維芽細胞は、肌の健康や再生に重要な役割を果たす細胞です。肌に必要なコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの成分を生成し、肌の弾力性を保つ働きをしています。ここでは、線維芽細胞の働きを詳しく解説します。

美肌を維持する

線維芽細胞は、美肌の維持に不可欠なコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生成するため、肌の弾力やツヤを保つために重要です。コラーゲンやエラスチンが十分に生成されると、肌はハリを持ち、しわやたるみが目立ちにくくなります。

また、線維芽細胞は肌のターンオーバーにも関与しており、健康的で透明感のある肌を維持するために欠かせません。線維芽細胞が十分に働いていると、肌はふっくらとした若々しい印象を与えます。再生医療において、線維芽細胞を活性化させる治療法は、加齢による肌の衰えを防ぐために有効です。

古い細胞の分解と新しい細胞を生成する

線維芽細胞は、古い細胞を分解して新しい細胞を生成する働きも担っています。古い細胞を分解して新しい細胞を生成することにより、肌の再生が促進され、ダメージを受けた部分が修復されます。

肌のターンオーバーを正常化するためには、古い細胞の排出と新しい細胞の生成が重要です。線維芽細胞が活性化することで、新たな細胞の生成が円滑に進み、肌の健康が保たれます。肌再生医療の治療は傷やしわ、たるみが気になる部分の改善に役立ちます。

新しい血管づくりをサポートする

線維芽細胞は、新しい血管を作る役割も持っています。血管は、肌に必要な栄養素を供給するために欠かせない部分であり、血行が良くなることで肌の代謝が活性化します。

線維芽細胞が血管を新たに作ることによって、肌の血流が改善され、健康的な肌色を保つことが可能です。

女性ホルモンを生成する

線維芽細胞は、女性ホルモンを生成する働きもあります。特に、エストロゲンというホルモンは、肌の健康に大きな影響を与えます。エストロゲンはコラーゲンの生成を助け、肌の弾力を保つ役割のある女性ホルモンです。

そのため、線維芽細胞の活動が活発であることは、女性ホルモンのバランスを保ち、肌の老化を防ぐために非常に重要です。

線維芽細胞が減少する原因

線維芽細胞は、肌の健康を維持する重要な役割を担っていますが、さまざまな原因で機能が低下したり、減少したりします。ここでは、線維芽細胞が減少する主な原因を3つ解説します。

しわやたるみなど、老化肌で悩んでいる方は、当てはまっているものがないか確認してみましょう。

加齢

加齢は、線維芽細胞が減少する主な原因の1つです。年齢を重ねることで、肌の再生能力が低下し、線維芽細胞の数も減少します。再生能力が低下したり、線維芽細胞の数が減少したりすることで、コラーゲンやエラスチンの生成が減少し、肌のハリや弾力が失われます。

また、肌のターンオーバーが遅くなるため、古い細胞が肌に残り、くすみやシミが目立つようになります。

紫外線

紫外線は、線維芽細胞に大きなダメージを与える原因の1つです。長時間紫外線にさらされると、肌の真皮層にある線維芽細胞が傷つき、働きが低下します。さらに、紫外線によってコラーゲンやエラスチンが破壊されると、肌の弾力が失われ、しわやたるみが進行します。

また、紫外線は肌のターンオーバーを遅らせる原因でもあるため、シミやくすみが現れる原因の1つです。紫外線対策を徹底することで、線維芽細胞の減少を防ぎ、肌の老化を遅らせることが可能です。

乾燥

乾燥も、線維芽細胞に悪影響を与える原因の1つです。肌が乾燥すると、表皮のバリア機能が低下し、外部からの刺激に対して敏感になります。乾燥によって刺激を受けやすくなると、線維芽細胞の働きが抑制され、コラーゲンやエラスチンの生成が減少します。

また、乾燥した肌はしわやたるみが目立ちやすくなるため、早めに対策することが大切です。しっかり保湿することで、線維芽細胞の働きをサポートし、健康的で弾力のある肌を保てます。

線維芽細胞を増やす3つの方法

線維芽細胞は肌の健康に欠かせない重要な細胞であり、増殖は美肌維持のために大切です。線維芽細胞を増やすための方法として、生活習慣の改善や正しいスキンケア、美容医療の施術が有効です。ここでは、線維芽細胞を増やすために有効な習慣を3つ紹介します。

生活習慣を改善する

生活習慣の改善は、線維芽細胞を増やすために非常に重要です。十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動は、線維芽細胞の働きを活性化させる基本的な方法です。特に、ビタミンCやE、コラーゲン生成をサポートする食品を摂取することで、線維芽細胞の減少が緩やかになるでしょう。

また、ストレスを軽減することも大切です。過度なストレスは、肌の健康に悪影響を与え、線維芽細胞の機能低下を招くことがあるため、リラックスする時間を確保することが求められます。生活習慣を見直し、健康的な生活を送ることで、線維芽細胞を増やし、肌の若返りを促進できます。

正しいスキンケアを続ける

正しいスキンケアを続けることも、線維芽細胞を増やすために重要です。肌を清潔に保ち、正しく保湿することで、線維芽細胞の減少を抑えます。特に、エイジングケアを意識したスキンケアが効果的です。

抗酸化作用のある成分を含む化粧品や、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートする成分を積極的に取り入れることが線維芽細胞を増やす鍵となります。また、紫外線対策も重要で、日焼け止めを使った紫外線対策を徹底することが大切です。正しいスキンケアを毎日続けることで、線維芽細胞を守り、健康的な肌を維持できます。

美容医療の施術を受ける

美容医療の施術も、線維芽細胞を増やすために有効な手段です。PRP療法と線維芽細胞療法は、肌の再生を促し、しわやたるみを改善する効果が期待できます。また、線維芽細胞療法は、患者自身の線維芽細胞を使って肌を修復する治療法であり、副作用やアレルギー反応が起こるリスクも低いとされています。

さらに、HIFU(高密度焦点式超音波)やレーザー治療も、皮膚の深層に働きかけて、線維芽細胞の活性化をサポートする施術です。美容医療を活用することで、線維芽細胞を効率的に増やし、肌の若返りを実現できます。

線維芽細胞を増やす美容医療

線維芽細胞を増やす美容医療には、PRP療法や幹細胞治療、線維芽細胞療法など、さまざまな施術があります。PRP療法や線維芽細胞療法などの肌再生医療は、肌の再生を促進し、コラーゲンやエラスチンの生成を高めることで、肌のハリや弾力を改善する治療です。

特に、線維芽細胞療法は、自分自身の細胞を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが低く、安全性が高い点が魅力です。さらに、細胞を保存しておくことができ、必要な時に再利用することが可能です。細胞を保管しておくことにより、肌の状態に合わせた適切なタイミングで治療が受けられます。

真皮線維芽細胞療法(再生医療)とは?期待できる効果とメリットを紹介

線維芽細胞療法を受けるメリット

線維芽細胞療法は、自分自身の細胞を活用するため、非常に安全性が高い治療法です。肌の深層に働きかけ、再生を促進する効果が期待できるため、若々しい肌を維持するための強力な手段となります。ここでは、線維芽細胞療法のメリットを解説します。

メンテナンス間隔が長い

線維芽細胞療法の大きなメリットの1つは、メンテナンス間隔が比較的長いことです。治療後、数ヶ月〜1年に1度のペースでメンテナンスするだけで、効果の持続が期待できます。そのため、頻繁に治療を受ける必要がなく、手間が少ない点が魅力です。治療後の効果を維持しやすいので、忙しい方でも続けやすい治療法といえるでしょう。

安全性が高い

線維芽細胞療法は、患者自身の細胞を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが非常に低く、安全性が高い点もメリットの1つです。体内で使用する成分に違和感がないため、安心して治療が受けられます。

また、患者の体調や肌質に合わせた治療が可能なので、個別に対応できる点も大きなメリットになります。美容医療を受ける際、安全性を求めている女性にとって、この点は非常に重要なポイントです。

保存していた細胞を必要なタイミングで使用できる

線維芽細胞療法では、治療時に採取した細胞を保存できます。採取した細胞を保存しておくことで、将来的に再治療が必要な場合でも、すぐに利用が可能です。特に、若い年齢のうちに細胞を保存しておくことで、年齢を重ねてから治療を受ける際にも、より効果的な治療が受けられます。

採取した細胞を保管し、好きなタイミングで使用できる点が線維芽細胞療法の大きなメリットです。定期的なメンテナンスと組み合わせて活用することで、より長期的に美肌を保てます。

顔以外への施術もできる

線維芽細胞療法は、顔の治療に限らず、体の他の部位にも施術できます。例えば、手のひらや首元、デコルテ部分など、年齢とともに気になる部位にも効果を発揮します。そのため、線維芽細胞療法は、顔だけでなく、全身的な肌の若返りを目指せる治療です。全身の美容に関心がある方にも、線維芽細胞療法は非常に有効な選択肢となるでしょう。

線維芽細胞療法のデメリット

線維芽細胞療法には、多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。治療を受ける前に、効果や副作用、治療費用などを十分に理解しておくことが大切です。ここでは、線維芽細胞療法のデメリットを詳しく解説します。

治療費用が高い

線維芽細胞療法は、一般的に高額な治療法であり、費用がかかる点が大きなデメリットです。細胞の採取や培養、再注入などの手間がかかるため、1回の施術に数十万円の費用がかかるクリニックがほとんどです。

さらに、治療を継続的に受ける必要がある場合、長期的に見るとかなりのコストがかかることになります。そのため、治療を受ける際には、費用面をしっかりと考慮する必要があります。

肌再生医療の料金相場は?高額な理由と安く受けられるポイントを解説

効果の現れ方に個人差がある

線維芽細胞療法は、個人の体質や肌質によって効果が異なる場合があります。治療後、思っていた効果が得られる方もいれば、想像していた効果が得られない方もいるのが事実です。

また、線維芽細胞療法の効果は時間をかけて現れるため、効果がないと感じる方もいるでしょう。そのため、効果を感じるまでに時間がかかることを考慮し、効果を期待しすぎないことが大切です。

しこりや内出血などのダウンタイムがある

線維芽細胞療法には、施術後に一時的なダウンタイムが発生することがあります。特に注入後、しこりや内出血が多く見られるダウンタイム症状です。

しこりや内出血などのダウンタイム症状は、数日から数週間内に回復しますが、見た目が気になる場合があるため、ダウンタイムを考慮したスケジュール調整が必要です。また、しこりが完全に解消されるまでに時間がかかりやすいため、施術後のアフターケアや経過観察が重要となります。

線維芽細胞療法を受けるクリニックの選び方

線維芽細胞療法は、高額な治療であるため、慎重にクリニックを選ぶことが重要です。信頼できるクリニックを選ぶことで、安全性を確保し、より高い効果を実感できるでしょう。ここでは、クリニック選びのポイントを解説します。

総額費用が適切である

線維芽細胞療法は高額な治療法ですが、費用にはクリニックごとに違いがあります。安価なクリニックもありますが、あまりにも安すぎる場合、治療の質や設備が不十分な可能性があるため、注意しましょう。逆に、高額すぎるクリニックもあるため、治療内容やサービスの内容をしっかり確認することが大切です。

総額費用が適切で、事前に明確な見積もりが出されるクリニックを選ぶと安心です。また、治療費が不明瞭な場合や、追加料金が発生しそうな場合には、事前に確認しておきましょう。

悩みに合った治療が受けられる

線維芽細胞療法を受ける際は、あなたの肌の状態や悩みに合った治療を提供してくれるクリニックを選ぶことが大切です。クリニックによっては、個別のカウンセリングをしっかり受け、あなたに最適な治療法を提案してくれるか確認しましょう。

また、治療の種類や施術方法に関して、医師がしっかりと説明してくれるクリニックを選ぶことで、安心して治療が受けられます。さらに、再施術や調整が必要な場合に、柔軟に対応してくれるクリニックを選ぶことも大切なポイントです。

アフターケアがある

線維芽細胞療法を受けた後の、アフターケアが充実しているクリニックを選ぶことも重要です。施術後にしこりや内出血が生じることがありますが、しっかりとアフターケアすることで、回復が早くなり、問題が発生するリスクも減少します。

また、アフターケアがしっかりしているクリニックでは、術後の定期的に経過観察してくれることが多いため、治療の効果を最大限に引き出せるでしょう。より良い結果を得るためには、適切にアフターケアしてくれるクリニックを選ぶことが重要です。

まとめ

この記事では、線維芽細胞について解説しました。

線維芽細胞療法は、自分の細胞を使用した治療なので、比較的安全性の高い治療法です。しかし、効果を感じるまでに時間がかかったり、費用が高額だったりするなどのデメリットもあります。

この記事を参考に、線維芽細胞療法を理解し、安全で効果的な治療を受けましょう。肌のたるみやしわで悩んでいる方は、ぜひゆきスキンクリニックへご相談ください。

小林智之

記事監修医プロフィール院長 / 小林 智之

大学病院にて皮膚科領域や形成外科、救急など修練するうち、目に見える多くの疾患が治癒していく経過を確認できることに魅力に感じ専攻いたしました。
しかし、一般皮膚科だけでは改善しないお悩みに直面し、皮膚科診療と並行しながら美容皮膚科を学びました。
これまでの経験を活かし、当院の特徴である、多角的方面から疾患やお悩みを改善できるクリニック、まさしく小さなお子様から皆様のお肌のホームドクターを目指したいと思っております。
お肌のお悩みは女性も男性も同じだと思いますので、お気軽にご相談ください。

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